クルマづくりサポート

クルマづくりサポート#15【量産・あとがき】

量産がゴールと書いてきましたが、ゴールと同時にOEMとしての活動の始まりとなります。

量産車を出荷し、ようやくOEMとしての一歩を踏み出すわけですが、お客様が自社製品を使っていただく限りアフターサービスは永遠に続きます。メンテナンス、不具合対策、リコール対策、補給部品体制構築など、量産後もOEMとしての義務はたくさんあります。ここからがOEMとしての活動のスタートです。

残念ながら、ここまで到達できる会社は本当に少ないです。ここまで読んでくださった方は「この注意点や分岐点さえ意識すればクルマづくりは大丈夫」と思われるかもしれません。しかし、ほとんどの会社が量産まで届かずにプロジェクトを中断したり諦めたりしています。クルマづくりは参入障壁が高くゴールまでの到達が非常に困難な茨の道だと思います。だからこそ量産まで登りきった人にだけ見える景色があります。OEMとしての活動は苦労が多いものの、それこそが目指してきたことのはずです。

 

あとがき

ここまで読んでくださった皆さま、ありがとうございました。
#1から#15までクルマづくりサポートとして自身の経験から学んだことや注意すべき点を書きました。ですが、「これさえ抑えておけば大丈夫」とは言えません。書き切れていない様々な課題や分岐点が山のようにありました。クルマづくりに困ったり壁にぶつかっている方々の道しるべになれればと思い雑記を書きましたが、注意点のごく一部にすぎません。

大切なことは、壁や大きな分岐点では自分で判断することだと思います。それが何よりも大切な経験、財産になるはずです。「自分で考え、試してみて、豪快に失敗して、対策案を考えて、また試してみる。」このサイクルが最強の経験値だと私は信じています。もし道しるべを求める方がおられたら、みなさまのクルマづくり活動を必要な時だけ末席からサポートができればと思います。主役はあくまでもクルマづくりに夢中になっているみなさまです。

クルマづくりを始めている方がこの雑記を読んでいただき道の険しさを感じてもらえたとしたら、場合によっては一旦スタート地点に立ち返り、「目的と企画は自分たちで決めて設計と生産は外部委託先に丸投げ」を再選択する手もあります。自分たちの手で量産まで行うことがかけがえのない経験になるのは間違いないですが、本当に成し遂げたかったことは何なのかを思い出すことで外部委託という選択肢が正しいこともあります。何のためにやるのか?を見つめ直すことが大切です。

自身の経験をもとに、えらそうに勝手なことを書かせていただきました。でも、これらはあくまでも一例です。他にもっと効率的で確実な手法はあるはずです。

みなさまの想いが形になり、そのクルマを一消費者として体験できることを楽しみにしております。

 

ナンバーナインワークス 藤墳 裕次