クルマづくりサポート

クルマづくりサポート#14【生産準備】

いよいよ量産の準備です。自分たちで設計し自分たちで組立したクルマを、他人が同じ品質で不具合なく組立する。この伝承が非常に大変です。

組立作業マニュアルを作り、どの部品をどの順番で組み立てるかを見える化する。固定するためのボルトはどれで、どの工具でどの締め付けトルクで固定するのか。ボルト締結前にゆるみ止めを塗布するのか、部品組み付け前に接着剤を塗布するのか、グリースアップするのか、などマニュアルにしっかり記載する。感覚で行ってきた作業を誰が見ても同じ方法で行えるように定量化しておく。地道にきちんとした作業マニュアルを作成しておく必要があります。安定した品質でものづくりが出来ているかどうかは、製造業としての信頼そのものです。

組立作業マニュアルだけではありません。部品番号を付与した各部品を誰でも簡単に見つけられるように陳列し、クルマの生産計画に合わせて部品や部品以外の資材、間接材などが欠品しないように発注し在庫管理をする。納品物の受入検査の検査基準を見える化し、納品ごとにチェックする体制を作る。どのような組立方法が最も効率が良く組立費が抑えられるのか。ボルト締め付けトルクなどの管理値はいくつでその品質をどのように管理し確保するか。車両ごとの管理値をどの帳面に記録するのか。など、やるべきこと決めるべきことがたくさんあります。ボルト一つ締め忘れるだけで人命に関わる不具合が発生し得るのがクルマの難しいところです。量産初期はどうしても属人的になりがちですが、人為ミスをできるだけ減らす仕組みが必要です。

量産では車両組立に必要な部品のショート(在庫切れ)は厳禁です。#5設計開発フェーズでも書きましたが完全なる売り手主導で部品メーカー様と繋がっているために「在庫切れたからすぐ持ってきて」というわけには行きません。量産台数分一括購入していたり都度発注して納品してもらったり、在庫の管理だけでも一苦労です。設計は経験あるが在庫管理は苦手という私みたいなずさんな人間ではうまくいきません。発注管理、生産管理、在庫管理がきちんと出来て、取引先様と良好な関係を築けるようなメンバーが必要です。