保安基準適合#2【運輸局相談前に押さえておきたい3つのポイント①】
〜プロジェクトを止めないために、初期段階で考えておくべきこと〜
鍵となるのは、プロジェクト初期段階からの運輸局とのやりとり
自動車部品の開発において、「自社開発品を車に搭載し、公道で評価したい」というご相談をいただくことが増えてきました。100年に一度の変革期である今、各社で新しい価値を生み出す活動が活発になっているのを感じております。
その活動の陰で、
「過去に公道での評価を目指したものの、認証取得の壁にぶつかって諦めた」
という過去の失敗談もよく伺います。
認証取得への準備が不十分だったことで公道で走らせることができず、当初の目的である市街地でのデータ収集や実証が実現できなかったケースはたくさんあります。
こうしたプロジェクトの停滞を防ぐために重要になるのが、プロジェクト初期段階からの運輸局とのやりとりです。
ここでのポイントは、「相談前にどれだけ準備できているか」です。そこで、弊社がさまざまなプロジェクトをお手伝いする中で注意している、公道走行実現の初期段階で押さえておくべき3つのポイントを、3回に分けてご紹介します。
①どの申請区分に該当するかを明確にする
まず最初におさえるべき第一のポイントは、自社プロジェクトが、どの認可・申請の枠組みに該当するのかを明確にすることです。
たとえば、以下のような区分が考えられます。
・ゼロから開発した少量の試作車を新規届出するのか
・改造自動車として既存ベース車からの変更を届出するのか
・改造自動車に該当しない軽微な構造変更を届出するのか
など。
これらの判断が曖昧なまま運輸局に相談に行ってしまうと、運輸局側は制度の基本的な説明から始める必要が生じ、窓口担当官に“準備不足=大丈夫?”という不安を与えてしまう可能性があります。また申請の枠組みによって審査を行う団体も異なりますので、門前払いとなってしまう確率が高くなってしまいます。
どの枠組みに該当するかを理解することは、自分たちが実現したいことのハードルの高さや適切な進め方を知るための良い機会です。事前に申請区分を明確にしておくことで、単なる形式的な準備ではなく、プロジェクト全体の方針を議論し見直す重要なプロセスでもあるのです。