おもろいクルマづくり

おもろいクルマづくり#6【軽量化その2】

今できる軽量化アイテムをできる限り採用し、タンク内ガソリンも残2目盛まで減らし、コーナーウェイトゲージ実測で745kgまで軽量化。
816-745▲71kg。ざっと成人男性一人分の軽量化です。もともと贅肉の少ないクルマなのでここまで減らすのも結構苦労しました。
早速、軽量化していない車両と745kgに減量した軽量化仕様を比較テスト。

745kgは、サイドブレーキを下ろしクラッチを繋いだ瞬間から全く違う感覚!
クラッチをつなぐたび、操舵するたびに、全く別のクルマに乗っているほどフィーリングに差を感じます。

1ヶ月ほど前に軽量化途中の780kgでテストしていた頃も、0発進での出だしの軽さ、ハンドル切り始めに純正からの軽さを少し感じていました。
780kgの頃は私自身の鈍感さが重量差を感じにくいのかとも思っていましたが、745kgになり鈍感な私が乗ってもはっきりわかるほどの劇的な差に。
去年運転させていただいた、衝撃を受けたあの760kgと同等以上のフィーリングが得られました。

車重の10%近く軽量化となる▲71kgの軽量化の効果と恩恵は、当初思っていた想像をはるかに超えています。
同じクルマなのに、この71kgの違いでこれほど印象が変わることに純粋に驚きました。驚きと同時に、25年間も自動車業界で設計に携わってきて、”軽量化による運転フィーリングの変化”という基本的で非常にシンプルな比較検証を今までして来なかったんだと痛感しました。
大企業で部門や部位毎に与えられた重量目標を満足することが仕事になり、軽量化によるフィーリング変化すら自身で検証してこなかったことは自動車に関わる一エンジニアとして恥ずかしい限りです。

昨年に計画立案し、その後さまざまな要因で計画変更をくり返してきましたが、いくつかの企業様にもお力添えいただきながら軽量化活動を進めてきてこの5ヶ月間でとにかくシンプルに軽量化によるフィーリングの変化について比較検証を実施することができました。

結果として、劇的な運転フィーリングの変化を体感することができ、純粋に心踊る楽しい運転体験が得られただけでなく
”自分で考え、部品を作り、自分で組み立てて、自分で評価し、また考える”という、現場での現物でのトライ&エラーのサイクルが本当に大切だと改めて痛感しました。
「何かを学ぶのに自分で経験する以上にいい方法はない」という言葉がありますが、本当にその通りだと思います。
自分で試して体感することが何よりも自信になる。そう再認識できた1日でした。

ここまでの活動として、まずは目標としていた760kg以下が達成できました。
この次にアナログ&ダイレクト化をさらに進化させる予定でしたが、その前に「745kgからの更なる軽量化」をどうしても進めてみたいと思っています。
ここからの更なる軽量化は、費用・期間・場所・ご協力いただく企業様・保安基準適合など、沢山の課題とハードルが出てきます。
どうやったら進められるのか、時間はかかりそうですがじっくり考えてコツコツと進めていこうと思います。