クルマづくりサポート

クルマづくりサポート#10 【評価・認証・生準フェーズ】

基準がない中での車両設計には数々の不具合や落とし穴が待ち構えていますので、#7【車両設計】だけでその大変さは表現できませんが、茨の道を突き進み試作車が作れるところまで開発を進められたら、前さばき・設計開発に続く第3のフェーズとなる評価・認証・生準フェーズになります。ここからがクルマづくりの後半戦となります。

意外かもしれませんが、実は「一台走るクルマを作ること」は比較的簡単です。

既存の量産車を持ってきて一部改造したり、保安基準適合・信頼性・品質はとりあえず後回しにして、補給部品やアフターパーツなどから必要な部品をかき集めて組み上げればとりあえず走るクルマに仕立てることは可能です。外観をそれなりに整えれば、クルマづくりに携わらない方々から見れば開発が進んでいるように受け止められることもあります。

サーキット専用のレーシングカーを作るのであれば得意とするレーシングチームはたくさんありますし、過去に作ったレーシングカーを改良したりフレームを新作したりして走る曲がる止まるに特化した試作車は比較的短期間に製作できます。

しかし、それは量産開発とは異なります。

保安基準適合し、認証取得し、信頼性、耐久性や一定の品質を確保した量産のクルマづくりを目指すのなら、「とりあえず走るクルマを作る」では近道になりません。量産のクルマづくりを目指して部品選定や設計に苦心し、なんとか試作車が作れそうなところまで設計を進めていって、その設計が狙いの性能を満たすのか、保安基準適合するのか、不具合や問題点がどれだけ発生するのかを実車にて評価確認をする必要があります。

実車評価し、初期不具合など問題点の洗い出しを行い、対策案を検討し、再度実車にて評価し、次の設計フェーズにフィードバックする。このように開発を一歩ずつ進めていくことが地味ながらも正攻法です。

商品性だけでなく品質や信頼性を試作車評価で確認し、認可を得るための認証試験の実施、生産ラインだけでなく商流物流を含めた生産準備を進める。クルマづくりの想いと勢い・行動力で進めてこれた前半戦に対して、後半戦はコツコツと一つずつ課題を潰していく必要があります。アイデアを生み出すのは得意やけど製品化までの苦しみを乗り越えるのは苦手、という方には非常に困難な作業です。勢いではなく堅実で地に足ついた行動ができるメンバーがチームに必要になります。